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桜だより

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 今朝の新聞の地方欄に「サクラだより」が登場した。その横には以前からの「きょうの花粉情報」欄も。まだまだ花粉は非常に多いとある。うちの夫は花粉から逃れるために、三月半ばに日本を脱出、バリ島へ一か月の予定で行ってしまった。  桜ほど全国民的に待たれる花も他にないだろう。日本地図に開花の頃を描く桜前線などというものもある。桜は菊と並んで日本の国花でもあるし、何といってもその咲き方、散り方が愛されるのだろう。新聞に開花状況が載るなどという国は、世界でも日本だけではなかろうか。春の桜狩り、秋の紅葉狩りといった言葉が今も使われることは、日本人の誇りにするべき文化だとあらためて思う。  私の住む地域で開花状況が気になるのは何といっても千五百年の樹齢を誇る「根尾の薄墨桜」。四百六十年、後の継体天皇が岐阜県根尾村(現本巣市根尾)を去られるときに植えられたというもの。すでに大正十一年に国の天然記念物に指定、戦後の調査で三年以内に枯れると診断、樹医の手でよみがえったが、伊勢湾台風以降また衰える。作家の故宇野千代氏がこの桜を愛し、惨状を訴え、本を出したことが県や国を動かし、今に至っている。宇野千代氏に感謝をこめて、薄墨公園内に建つ「さくら会館」には、彼女ゆかりのものが感謝をこめて常時展示されている。  四季のあること、毎年桜が咲いてお花見ができることを、私たち日本人は当たり前と思っている。でもそれは奇跡に近いこと。生かされて今年の花を愛でられることに感謝。

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