しっとりと濡れた紫陽花を見て、人の心も七変化だなぁと。前回、恥ずかしげもなくコラムで愚痴をこぼさせて頂いたら、結構気にかけて声をかけてくださったり、お手紙までいただき、沈んだ顔から笑顔になった母ちゃんです。
紫陽花の花が赤や青に移り変わるように、ブルーベリーもほんのり赤色に。これが濃い藍色や紫に変化する様は、まるで雨上がりの虹のよう。ホッとため息がこぼれそうなくらい綺麗な姿。なのだが、これが赤色に色づきだしたら父ちゃんと母ちゃんは血の気が引いて青くなる。さぁ、グズグズしてる余裕はない!父ちゃんはとうとう防鳥ネットを張り出した。今年のヒヨドリは枝に乗って色づきだした第1果の一番大きい実を揺すって落とす。母ちゃんもイラガの毛虫取りに、案内作りに、予約表の準備。夜は子どもたちと並んでテレビを観ながら出荷用のパックに有機シール張り。もう一家総出でシッチャカメッチャカ。
そんな中、チビタが「ブルーベリー始まるん?」「そう」と返事すると「ほな、ひろきんち、夏?」「どこも夏になるんやで」と返すと「○ちゃんちも?ヤバいやん!ブルーベリー待っとってんやで」と焦っていた。そして固定されていないネットの中にヒヨドリが数羽飛ぶのを見て「うりゃー
っ!おれんちのブルーベリー落とすなよっ!」と、早朝から雄たけびを発していた。なんだか騒がしいけど、やっぱりうちはこうじゃなくっちゃ。さぁ、家族で夏のスタートラインに立とう!
(古谷暁子・ブルーベリー農家)
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