野菜作りで一番気乗りしないのが、野菜畑の後片付け。時間と労力がいるわりに収益がない。種を撒き、小さな命が動き出し、生長していく過程は面白く、収穫となると気持ちも上がるのだが。だから片付けになると父ちゃんは「数日後に耕すので要るものは採ってよ」と最終宣告をし、驚く速さで引っこ抜き、ハンマーナイフモアという機械で野菜の残さをチップ状にし、さっさと耕し畝を作り、マルチを張り、作付の準備に入ってしまう。
お天道様とのタイミングなので母ちゃんは焦る、焦る!野菜がない時期のために耕される前に、自家用に畑から救出せねばならない。父ちゃんが後回しにしてくれている畝で母ちゃんは必死で人参やゴボウを片っ端から引っこ抜き、家裏の畑の隅っこで土をのせて避難させる。九条ネギもそんなに食べるのかい?と言われても引っこ抜いて小口切りにして冷凍保存。里芋に関しては大好きな伯母にも大量に送ってしまう。
すると後日、大量のデコポンが伯母から送られてきた。大量の自家用野菜は日頃お世話になっている友人にあげ、デコポンもお裾分け。するとまた後日、お礼にと各方面から手作りマフィンや、早採りの筍、はたまたうちの野菜を使った夕飯の一品に変身して戻ってきた。更に薪ラックを作ろうとしていたら、使わないからと丈夫でとんでもなく長い稲木を大量にいただいた。どれもこれも助かるっ!ありがたいっ!これって、田舎版わらしべ長者みたい♪
(古谷暁子・ブルーベリー農家)
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