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達身寺とカタクリ吟行

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 丹波での四月の句会の翌日、久しぶりに仲間と吟行へ出かけた。四月に入ってから夏日が続いたのに、この日は花冷えというより春寒の一日。母のタンスに遺っているセーターを出して重ね着、それでもまだ寒い。母のいた頃は、岐阜から車で帰っていたので、句会の前後に丹波市内をうろうろ、達身寺を訪ねたのは、十年ほど前になるかもしれない。ほとんどの桜は葉桜になりかかっていて、山桜が少し残っている程度。本当に今年の花は急ぎ足で過ぎた。  達身寺と言えば「丹波の正倉院」と称される名刹。鎌倉初期(一一八五年)から平安弘仁(八一〇~八二四年)期頃の仏像が沢山宝物殿に所蔵されている。達身寺様式といわれる、仏像のお腹がふっくらとしていることや「兜跋毘沙門天」が十六体もあるのが特徴とか。また昭和二十年代の初めまでは国宝指定であったのに、仏像や寺についての古文書が残っていないという理由からか、兵庫県の文化財指定が三十四躯、丹波市文化財指定が三十三躯となった。丹波仏師の里であったとか、諸説あるようでなかなか興味深かった。  さて、カタクリの花も今年はずいぶん早く咲いてしまい、行く前から「もうほとんど咲いてしもて、あかんみたいですけど」と幹事さんが心配していた。「まあ、色あせてたら、それを詠めばいいんじゃないの?」と決行。明日はカタクリ祭で出店もちらほら。でもとにかく寒い。気温は八度。十度にならないと開かないという、やや色あせたカタクリ、その花の震え以上に震えながらの吟行だった。

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