風信書道会師範の大槻佐知子(雅号・幸希)さん(77)=兵庫県丹波市春日町黒井=が10月12―22日、丹波市立植野記念美術館で喜寿を記念した書の個展を開く。数人でのグループ展を開いたことがあるが、個展は初めて。漢詩や自作の短歌、日々の思いを書で表現した作品など、今年仕上げたものを中心に65点ほど展示する。大槻さんは「1点1点に思い入れがある。ぜひ足を運んでもらえれば」と話している。午前10時―午後5時、入場無料(開催中の原田泰治展は有料)。16日は休館。
日常生活で感じたことをつづった文章を、漢字とひらがなを調和よく書いた「調和体」で表現。漢字とひらがなの並びやバランスに気を配りながら筆を走らせた。縦2・1メートル、横2・7メートルの大作もある。
小学2年生ごろから書に親しみ、柏原高校時代には「書道班」に所属していたが、卒業後は書から遠ざかった。34歳のとき、それまで二人三脚で歩んできた夫・良三さんが、40歳の若さで他界。悲しさを紛らわそうと、再び筆を手に執った。「書に打ち込んでいる時間は、夫がいない悲しさや寂しさを忘れられた。たとえ少しの時間でも楽になれました」と振り返る。
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