51歳の誕生日が近づいてきた。年が明けるとすぐひとつ歳を取るので、例年憂鬱なのだが、今年は違う。私には野望があるのだ。
朝、いつも機嫌が悪い夫に「来月、ままの誕生日なの」とそれとなく言ってみる。夫は「知ってるよ。何回言うの」とけんもほろろである。そうなのである。今回だけは普段、段取り下手な私が綿密な計画を立て、繰り返し夫に誕生日を、ことあるごとに伝える刷り込み作戦に出ているのである。彼の思考を停止させ思い込ませるのである。私の計画は今のところ着々と進行しつつある。
寝る前も「お休み。ままの誕生日だね」と言うことを忘れない。テレビを見ている時も「ままの誕生日だな~」とふと、漏らすことを忘れない。ドライブ中も山道を走りながら、「雪で滑るから気をつけてね。来月ままの誕生日だ」と注意喚起も忘れない。日曜日朝ご飯横に「おはよう!ままの誕生日そろそろ♪」とメモを添えることも忘れない。
実はほしいものが狭い我が家のリビングには少々ドデカイのである。ゆえに彼はあまりいい顔をしない。悲しいかな、容積率には限りがあるのである。
先日新しいソファを夫に買ってもらった。熟考の末決めたソファなので気に入っているが、使ってみて気がついた。足を伸ばす場所がない。これでは昼寝ができないではないか!由々しき問題に対処するため早急にオットマン(足のせ台)が必要となった。夫にオットマン購入の許可を。春から何やらややこしい。
(土性里花・グループPEN代表)
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