「それでも、家計を助けてきた。これからは、ぼちぼち行こう」―。25年の結婚生活の中で、生活が楽だった時もあれば、苦しかった時もあった。やっと、今年で学費の心配はなくなったが、2人の娘の大学が重なったこの5年間が特に厳しかった。夫の小遣いもだんだんと減り、今まで蓄えていたものも吐き出すだけ吐き出した。
夫婦で働き、私事で受けている司会で入ってくる収入も全て家計に入れた。それでもいつもぎりぎりで、私の財布には何十円という時も間々あった。それでも無いなら無いでなんとか乗り切ってこられたのは、周囲のご縁やご協力のおかげだったと感謝している。お金が一番いるこの期間に私を雇ってくれていた会社にも感謝しているし、司会のお声をかけていただいたことにも感謝している。自分の両親にも感謝だし、義母にも元気でいてくれて感謝している。
お金がない時に毎年恒例の黒枝豆パーティーをするのはなかなか大変だったけれど、そんな時は決まって大きな司会の仕事が入り、それで何とか賄えたことも少なくない。今はその時の繋がりが夫の仕事で活きているようで、こちらもありがたいことである。
そして、やっと最近、ひと息つけるようになり、夫婦で旅行にも行けるようになってきた。そんな時に、私が私の稼いでくるお金は微々たるものだけど、と夫に言った時の返事がこの言葉である。今日のこの日まで共に歩いて来られた。これからは、ぼちぼち行きましょうか、お父さん。(土性里花・グループPEN代表)
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